開心術における心筋保護について正しいのはどれか。2つ選べ。
a: 人工心肺の送血回路から側枝を出して心筋保護液を注入する。
b: 細胞内液型心筋保護液中のNa+濃度は細胞外液型より低い。
c: 逆行性心筋保護では右室の心筋保護液灌流が不十分となりやすい。
d: 血液併用心筋保護液では晶質液性心筋保護液より注入温度を低くする。
e: 心筋保護液の初回注入量の目安は80mL/kgである。
心術では大動脈遮断に起因する心筋虚血再灌流傷害を最小限にとどめる安定的な心停止を得る必要があり、心筋保護という概念が発達してきた。手術操作上必要な心臓の停止状態を維持する目的と、心停止中の心筋を守るために心筋保護液という薬液を投与する。専用の心筋保護供給の機器を用い、心筋保護薬液を一定の時間間隔で心臓の栄養血管(冠状動脈)に流すことで、心筋の保護を行っている。
a:血液併用心筋保護法では、送血回路側枝から動脈血を取り出すためのローラーポンプと晶質性心筋保護液を注入するためのローラーポンプを調節し、同時に注入するのが一般的である。
b:正解。細胞内液型のNa+濃度は10 mEq/L程度で、細胞外液型のNa+濃度は120 mEq/L程度と比較すると低い。
c:正解。右室の灌流が不十分になりやすいといわれている。
d:晶質性心筋保護液は4℃前後で、血液併用心筋保護液では10~13℃程度で注入する。これは、血液を併用するため粘稠度が上がるためである。
e:初回注入量の目安は、20 ml/kg、以降は20~30分間隔で初回量の半分を投与する。